ミモザと革。バケッタレザー・1000年前の革なめし
立春も過ぎ、春を感じたい今日この頃。
気分も新たに、LITSTAでは定番アイテムの新色を少しずつ作り進めています!
(こちらはまだ、お楽しみに!)
と、その前にLITSTAの皆も大好きなミモザ色。
そんなイエローのアイテムで春を感じてみるのはどうでしょうか?
ミモザと、LITSTAでメインで使うレザー「プエブロ」とは切っても切れない深い関係がありました。
レザーを愉しむ知識・哲学・歴史。そこから派生する様々なこと。
そんな話をデザイナー・Yukariがちょこっと書いていたので、ぜひ読んでやってください!
—–(LITSTA instagramより)—–
ミモザと革の蜜月な関係。
ミモザ色?
それだけじゃないんです。
革は革になる前、皮です。
皮を革にしてくれるのが、ミモザなのです。
そのプロセスこそ、鞣し(なめし)
植物から抽出した液に皮を漬け込むことで、
腐りにくい素材・革(レザー)へと変身します。
LITSTAで主に使うイタリア革は、植物由来の原料で鞣した革。
主に栗の木・ケブラコ(ウルシに近い木です)、そしてミモザを使います。
まだ化学薬品なんて無かった、1000年前のレシピ。
その名を、「バケッタ製法」といいます。
地球にもやさしいのです。
1000年も前というと、とても昔ですよね。
鎌倉幕府もまだ無いです。
でも、レザーは7万年前からその歴史をスタートさせたのです。
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私たちの祖先はお猿さんを卒業するべく、体毛を断捨離する進化を遂げていました。
なぜなら、熱を上手に発散させて長く走り回り、狩の成功率を上げたかったからです。
その進化が成功したのも束の間、
7万4千年前にはスマトラ島のトバ山が大噴火。
火山灰に覆われた地球は10℃も平均気温が急降下。
毛を脱ぎ捨てた人類は寒くてたまらなくなってしまいました!
そこで、、身に付けたのは、、
そう。革なのです!
獲物から剥いだ皮は、そのままにしておくと腐ったり、カピカピになっちゃいます。
うまく身につけるために、腐らないようにするために編みだされたのが、鞣しのレシピ。
最初は口でひたすら噛んで鞣したり、
石器で叩いたり、
糞尿に浸けたり、
魚の油に浸けたり、
燻したり、と、だんだんバリエーションも増え、進化していきました。
味や匂いを想像しただけで、オエってなります。
でも、先人の、オエって、なんてありがたいのでしょう・・!
体そのものを進化させることから、頭脳と技術を進化させる方向へとシフトチェンジ。
人類と動物の大きな違いですね。
さて、噴火後の寒さを約4千年耐え抜いた人類。7万年前にはついにレザーを定番的に着用するまでにイノベーションを起こしていました。
でも、レザーは腐りにくいとはいえ土に還ります。
出土しません。
そんな中レザーの歴史を証明してくれたのは、シラミ。
大昔からいる、皮膚や体毛の中に住み血を吸うシラミ。
体温に近いポカポカなところに住んでいました。
彼らの進化の枝分かれの中、皮膚から離れた温度の低い衣類の中で暮らす「コロモジラミ」が7万年前に登場したことが分かり、レザーの着用が証明されたのでした!
その後、気温に合わせたレザーを着用する事で、人類はアフリカ大陸を出て全世界へと進出する。
グレートジャーニーの縁の下の力持ち、レザー。
レザーって、すごい!えらい!
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「バケッタ製法」の起源は、倒木の横で死んでいた動物の皮が腐らなかったことから発見された、植物のタンニンを使ったタンニン鞣し。
そんな事を考えつつ、春を待ち遠しく思いつつ、私の一番の道具・爪にはミモザを描いてみました。
倒木の横で死に絶える獣。
梶井基次郎の、「桜の樹の下には」を思い出さずにはいられません。
—–(LITSTA instagramより)—–
革の鞣しについてのよみものはコチラ
レザーに始まった好奇心が、いろんな方向に波及してるみたいですね。
楽しそうでなによりです。
あなたの春の楽しみは、どんなことでしょうか?
ちなみに僕は、足首を思う存分出せることです。
まずは気持ちから、春にシフトチェンジしていきましょう♪
2022 | 02 | 18
Naoki